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嫌がらせ(いやがらせ)とは、特定、不特定多数を問わず相手に対し、意図的に不快にさせることや、実質的な損害を与えるなど強く嫌がられる、道徳心やモラルのない行為の一般的総称。英語ではharassmentに相当し、日本でも、こと嫌がられる行為をすること(または何がしかの行為に不快感を示すこと)を指してハラスメントと表現する場合もある。
類似の行為に「いたずら」があるが、こちらは不快感や問題意識をごく覚えない程度であれば許容されることもあるのが特徴である。
日常生活の中で、他者に精神的苦痛や物質的損失を与える結果となる行為を指す。一般的には“継続的に”行われる行為を指し、1度だけなら「迷惑行為」など別の言葉で呼ばれる事が多い(1度の場合でも間違った用法ではない)。また、テロや凶悪犯罪などその社会に重大な影響を与える事件も(「嫌がらせ」の域を逸脱している、と見做され)その範疇には含まない。
定量的かつ厳密な定義は存在せず、ある行為をある者が不快に感じれば、その者にとってその行為は嫌がらせとなる。従って、ある行為がA氏にとっては充分に嫌がらせであったとしても、B氏にとっては何ともない場合がある。また、“加害者”が「嫌がらせをしている」という自覚を持たず無知または当人なりの善意に基づいて行為に及んでいるケースもあれば、“被害者”の被害妄想に過ぎないケースも絶無ではない。
時代とともに嫌がらせの類型は変化する。例えば、女性の社会的地位改善に伴ってセクシャルハラスメントが問題となり、タバコによる健康被害(特に副流煙に関して)が意識されることでスモークハラスメント(→禁煙/嫌煙)が主張され、飲酒に絡む迷惑行為はアルコールハラスメント、インフォームド・コンセントのように医者と患者の関係が問い直される議論に関連してドクターハラスメントなる問題が提起されるなど、次々に新しい「嫌がらせ」が社会問題になっている。
「嫌がらせ」は、時に事件として大きく取り沙汰されたり、誰かの幸福追求権を阻害したなどの理由によって人権問題に発展する場合もある。
場所
学校
学校において、特に嫌がらせの相互関係になりやすいのは生徒(もしくは後輩)である。生徒間同士の嫌がらせで多いのが「いじめ」である。殴る蹴るといった直接相手に危害を与える暴力行為や悪口だけでなく、無視するといった直接危害を与えない陰湿な行為も嫌がらせに当たる。また近年では学校裏サイトなどネット上での嫌がらせも問題となっている。
生徒-教師間の嫌がらせでは、教員から生徒へが多い。また、昨今では性的な嫌がらせにより、校長や教師から逮捕者や教育委員会等の処分を受ける者も出ており、日本の教育の抱える問題点でもある。
大学・大学院など教育研究機関では教員の立場や権利を悪用し、学生に対し、単位を認定しない、就職を不利にさせる、学位論文を受理しない、推薦状を書かない、などの嫌がらせもある。学生以外に、職員に、研究所や職場において、上司である教授から退職を強要されたり昇任差別を受けたり、授業研究の妨害されたりなどの嫌がらせを受けることがある。こうした教育現場における権力を濫用した嫌がらせを、しばしば「アカデミックハラスメント」と呼ばれる(性的な嫌がらせを伴う場合もあれば、そうで無い場合もある)。
職場
嫌がらせでよくメディアなどで取り上げられる性的な嫌がらせ「セクシャルハラスメント(セクハラ)」は有名である。職場などの男性上司による対女性部下のケースが多い。例えば、スキンシップとして女性の体に触れたり、「○○ちゃん」と呼んでみたり、いかにも興味のあるように扱うという行為もセクハラにあたるとされている。その一方、まったく興味のない素振りをみせることもセクハラと見なす女性もおり、男性側が混乱することも多い。
また、職場で社会問題になっている嫌がらせがもう一つある。それはパワーハラスメントである。上司・上位に在る者が、その職務権限・権力を悪用し、部下を精神的に追い詰めることである。例えば、他の部下のいる前で大声で叱責したり、あからさまにある部下だけを無視したり、明らかに一人でこなせない量の仕事を押し付け、終わらせられなかったその部下を罵ったりという行為がそれに当たる。これには周囲から部下の側が悪いと認識され、そのために被害者を追いつめることがある。
職場を巡っては、宴会の席でアルコールハラスメント(アルハラ)も問題となる。飲めない酒を断ることができないのはパワーハラスメントとも関連する権力関係を巡る問題である一方、酒(アルコール)を飲めない体質は多くの場合遺伝性のものであり、飲酒を強要するのは嫌がらせを超えて人権侵害行為、あるいは傷害行為であるとの指摘もある。大学サークルや企業などでは、かつてのアルハラは減少してきているが、その根絶は難しいようである。
インターネット
代表的な嫌がらせに「荒らし」がある。これは、あるウェブサイト内の掲示板に無意味かつ長大な文字の羅列を何度も貼り付けたり、掲示板の趣旨とはそぐわない内容の議論をいつまでも続けたり、管理人やその他の利用者を中傷するような書き込みなどを指す。2ちゃんねるに代表される匿名掲示板のように、ほとんどのユーザーがハンドルネームを持たない名無しさんであるというような場所でも、他者への誹謗中傷を繰り返す者(粘着など)は存在する。
不特定多数のインターネット利用者の目に触れるような場所に、ある人物の不利益となるような情報を書き込む嫌がらせもある。個人情報を暴露するプライバシーの侵害や、名誉毀損などがそれに該当する。この嫌がらせは上記の「荒らし」と重なる部分もあるが、完全に同義という訳でもない(例えば、ある掲示板の管理人に対する名誉毀損は同時に荒らしでもあるが、他者のプライバシーの侵害を目的とするウェブサイトそのものを、荒らしとは呼ばない)。
その他の嫌がらせとしては、不正なプログラムの散布が挙げられる。その効果は千差万別で、中にはコンピュータに深刻な不具合をもたらすものもある。詳しくはコンピュータウイルスを参照の事。
メールボムという嫌がらせもある。この行為は、ターゲットのメールアドレスを無断で出会い系サイトやメールマガジンに登録したり、専用のソフトウェアを使ったりして、ターゲットに大量のメールを送りつける嫌がらせの事である。
これらの行為は、特定の人物への私怨や嫌悪感から行われる事もあれば、相手を選ばず面白半分で行われる事もある。
最近ではブログにおける炎上も嫌がらせの一つとして問題視されている。ブログの投稿者が反社会的な行動を自慢するかのように見て取れる文面を、たまたま閲覧した人間が2ちゃんねるなどで大々的に晒した後、「総攻撃」を行うのである。場合によっては、ブログの投稿者の自宅まで尾行し、住所はもとより家の特徴や最寄駅から何分など詳細な情報が流出することもあり、実際に引越しを余儀なくされた投稿者もいたという
近隣
近隣関係では、相手の言動を不快な嫌がらせとして認識しやすい。
例えば、音である。騒音を出している住人の多くは意識せずその音を出していることが多い。そのため、苦情を指摘されてもかえってその人が憤るなど、近隣や自治会など深刻な問題に発展しやすい。2003年12月9日、奈良で、隣人の騒音がきっかけで毎日朝から夕方まで大音量でラジカセを相手の家に向け流し(奈良騒音傷害事件)、隣人を頭痛や難聴、高血圧にさせて傷害罪で2005年4月11日に逮捕されている。日常生活を送るうえで生じる音でも、不快に思う近隣住人が多いということもマナーとして理解しなければならない。
家庭
家庭内での嫌がらせも存在する。
特に、親子の相互関係にある。子から親への場合、多くは自分を見て欲しいといった甘えたかったり、反抗期から来る自立心の芽生えによるものである場合が多い。
もっぱら問題となっているのが、「児童虐待」である。自身の子供に手を上げる、全く子供について興味がないネグレクト、性的虐待などがある。こういった行為は、子供の将来に重大な傷跡(トラウマ)を残す。最近では、法的な罰則を親に与える事ができるようになったものの、法で裁かれる以上に罪は重い。
また、配偶者同士で一方から他方への嫌がらせも存在する。物理的な暴行や傷害、無視やその他の言葉や態度での精神的な嫌がらせのどちらもがドメスティック・バイオレンス(DV)である。
組織・サークル
特定の組織・サークルで権力と実力を持つ人間(特に部外者)が首謀者として、運営を牛耳り(乗っ取り等を含む)、特定の人間に対してパワーハラスメントを行い、掲示板等にさらし者にし、幹部を洗脳させ、特定の人間をいじめ、排除させる等の嫌がらせ(怪文書作成、脅迫等)を行う。その行為は、人権侵害に当たり、立場の弱い幹部を洗脳をし、イエスマンにさせる等の組織崩壊等の被害・被害者への精神的な苦痛をもたらす事が多い。また、その行為は、首謀者が他者を軽視し、利益と利己主義と自己愛を含んだ野心を持っている為に起こっている。
特定の企業および団体に対して
ごくたまに特定の企業および団体(特に不祥事を起こした所)に対し爆破予告等の嫌がらせ事件が起きる場合がある。たいていは警察が捜査しても爆弾は仕掛けられておらず愉快犯によるイタズラのままで終わる場合が多いが、イタズラではなく本当に起きてしまったケースもあったりするのでやはり注意が必要である。
その他
特定の場所で発生するとはいえない事例が、「ストーカー」である。意中の異性の学校や職場の帰りを付きまとったり、その異性の家宅に盗聴器をしかけたりの嫌がらせ行為を四六時中にわたって行う。このストーカー行為は、殺人や暴行など現実的な大きい被害をもたらすことが多い。桶川ストーカー殺人事件が最も代表的な事件である。ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)を参照。
しかし、大半のストーカーは警察の注意によってその嫌がらせを止めるので、もし被害にあった場合、警察に通報・相談するのが一番の最善の解決策である。
マスメディア
また近年、一部の放送局、新聞社、出版社(特に週刊誌)による事実の捏造、行き過ぎた団体または個人批判(バッシング)等が理路整然と行われており問題となってきている。最悪、訴訟に発展する事態にもなったりする。(テレビ離れやメディア・リンチを参照)
また、逆にマスメディアの方が嫌がらせを受けてしまうケースもある